うついとむと の ふらいでー・じょーく と げつようこばなし:ジョークと小噺(小咄・小話)で笑いながら頭と脳を鍛えましょ。

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月曜小噺28:働きアリと女王アリ

 
 月曜日ですね。ここ最近いそがしくて、土日も働いていたので、あまり新鮮な感じがありません。
 ともあれ、月曜小噺をどうぞ。ちょっとショートショート風、つまり長いですので、お時間があるときにお読みください。

◇月曜小噺28:働きアリと女王アリ

「もう、いや」
 帰り着くなり、バッグを放り投げて、ユキコはベッドに倒れ込んだ。
 しばらくすると、小さな嗚咽が漏れはじめ、それがやがて大きな泣き声となっていく。

 ここしばらくそんな日が続いている。まるで儀式のように、ユキコはそれを繰り返している。そうでもしなければ、心のバランスがとれないとでもいうように。

 ユキコは損害保険の代理店に勤めている。仕事は保険事務。営業と違って外回りはなく、内勤だ。まわりは女子社員ばかりで、話題は芸能界、グルメ、ファッション、恋愛、ダイエット、それから上司の悪口…ああ、つまんない。かかってくる電話はお客さんばかりで、話題はクレーム、クレーム、クレーム…もう、いや。
 いったい何なの? わたしの人生って。

 でも、自由な時間があっていいじゃないの、好きなこともできるし、自分以外には責任もないし…と年配の人は言うかもしれないけれど。

 こうして働いて、ただ働いて、死ぬまでただ働いて。独り身だから、税金は控除もなくて高く、健康保険料もたくさん払って、それに年金保険料なんか、もうびっくりするくらい。こんなにたくさん払っても、もらえる年金はわずか。それなのに、専業主婦なんか、働いてなくても、年金がもらえるのよ。ご主人が亡くなっても、もらい続けられるのよ。私なんか、働いてはたらいて、それで死んだらもう終わり。納めてきた年金保険料は、ぜーんぶ無駄になるの。そうよ。私は働きアリ。誰かよその人のために、働いて働いて、はたらいて、はたらいて、そして死んでいくんだわ。

 何もそんなふうに考えなくたって。ほら、おいしいものでも食べて、気分を変えて…と、年配の人はそう助言するのかもしれないけれど。

 そんなある日、取引先の保険会社から来た若い男にユキコは心を惹かれた。ユキコの会社は代理店だから、保険会社から業務に関することでほぼ定期的に人が訪れる。いわゆる担当というのが来るわけだが、これまで心惹かれる担当はひとりもいなかった。しかし、このタカハシという新しい担当は、ちょっと違った。といって、何が違っているのか。ただ、ユキコが心惹かれたということだけかもしれなかった。

 心惹かれる男には自然と積極的に話すようになる。星座、干支、血液型、身長、食べ物の好み、彼女のあるなし、休日の過ごし方…タカハシが数回来るうちに、ユキコはそんな情報をすっかり仕入れてしまっていた。

 やがて食事に行き、ついでにバーに行き、いつしかもっと他のところに行き…二人の間には愛が芽生えていった。

「君を女王アリにしてあげたいな」
 それが彼のプロポーズの言葉だった。
 それまで、いろんなことを話すうちに、ユキコは自分のことを働きアリみたいだとタカハシにも言っていたのだった。
「うん。女王アリになる」
 それがユキコの返事だった。

 結婚してからすぐに子供ができた。夫は仕事で遅く、ただひとり、悪戦苦闘して、赤ちゃんの相手をする。おっぱいを飲ませ、オムツを替え、洗濯し、散歩に連れて行き、掃除をし、また食事の世話、後片付け、添い寝、しつけ、ああ、なんてたくさんのことをしなければならないの。
 すると翌年また子供ができて、またおっぱい、オムツ、洗濯、添い寝、しつけ…と続いていく。

「ほんと、大変なんだから」
 ユキコはかつての同僚ケイコと久しぶりに会って話をしていた。子供はめずらしく夫が見てくれている。
「でも、ユキコ、幸せそうよ」
 ケイコはそういってくれたが、ユキコにはもうわからなくなっていた。働きアリだったころと、「女王アリ」の今と、いったいどちらが幸せなのか。

「ねぇ、ケイコ。働きアリだったときには、それがいやでいやでしょうがなかったんだけど。でもね、それは単なる役割に過ぎなかったの。ねぇ、女王アリの役割って知ってる?」
「え、役割? 女王様には別に役割はないでしょ。どーんと構えていればいいんでしょ」
「そうね。女王っていうと、なんだかすごいけど、あなたもテレビかなんかで見たことあるでしょ。女王アリって、大きくて立派だけど、結局、ただひたすら卵を産んでいるだけ。そう。女王アリって、結局子づくりが役割だったのよ。単に子づくりが役割ということだけ。ちっともすごいことなんてないわ」
「ふうん」
 ケイコはあまりピンと来ていないようだった。
「働きアリは働きアリで幸せでいられるし、女王アリは女王アリで幸せでいられるの。わたし、それがわかったの」
「そう」
「あなたも、働きアリでがんばってね。私も女王アリでがんばるから。あら、もうこんな時間。帰らなきゃ」

 立ち上がった彼女は女王アリのように堂々としていた。お腹にはまもなく生まれる予定の3人目の子供いた。

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